巨大反応場解析 反応中心とそれを取り囲む反応場を合理的効率的に取り扱う新種法が誕生!
巨大システムの反応経路解析 巨大な環境中の反応にも高水準量子化学解析が使えます
GRRMプログラム並列版(GRRM11以降)では、Microiteration技術に改良を加えた新しいア ルゴリズムを導入し、反応中心の周囲を非常に軽い計算負荷で随時最適化しつつ反応経路を 追跡するできるようにしました。そのおかげで、原子数が数百個の巨大システムの反応経路 の追跡が可能になりました。上図左(a)は、ホルムアルデヒドHCHO分子が百個の水分子で取り囲まれたもので、このモデ ルを利用して水溶液中のホルムアルデヒド分子の反応経路を調べることができます。その計 算量は、驚くべきことに、単独のホルムアルデヒド分子の場合と、ほとんど変わらないこと がわかりました。これは、GRRMプログラムに搭載されたMicroiteartion技術の画期的な機能 のおかげです。
上図の右にケイ素原子6個が三角柱型に配列された構造に6個の水素原子が結合したモデ ルシステムが示されています。この場合のケイ素を炭素で置き換えたものは、プリズマンと よばれるベンゼンの異性体です。プリズマン型のSi6H6の6個のHを、嵩だかいアルキル基 C12H17で置き換えたものが上図(b)の左の図で、このよう巨大な反応場に対しても、GRRMプロ グラムによって、反応経路探索を行うことができるようになりました。
三角柱型Si6の反応経路解析 これまでの常識を遥かに超えた複雑系の反応解析が可能に!
174個の原子で囲まれた三角柱型Si6に、GRRMプログラムによる反応経路解析を 適用したところ、モデル系Si6H6には見られなかった新たな反応経路 が多数見つかりました。このことは、多数の原子で取り囲まれた巨大な反応場によって、新規 な反応が引き起こされることを意味しており、巨大な反応場の機能を解析し予測するうえで 貴重な情報が得られました。このように、GRRMプログラムによって、巨大な反応場を効率的に解析することができるよ うになりましたので、複雑な構造をもつ錯体や酵素の機能の解明や新種の触媒の設計が、大 きく進展するものと期待されます。