Single-Component(SC)-AFIR, Double-Sphere(DS)-AFIR 

Single-Component(SC)-AFIR: 単一成分からのAFIR探索

 GRRM17には、単一成分の2原子間に力を加えることで、効率的に反応経路を調べる新手法として、SC-AFIR法が 搭載されました。プログラムに最初から搭載されているADD-Following法と同様に、1つの構造(EQ)から出発して、 全面的に反応経路を探索することができます。
 AFIRでは、人工的に力を加えて探索します。加える力を大きくすると、より高いエネルギー障壁を超えて 探索できるようになりますが、探索時間は長くなります。AFIRの経路(AFIR経路)に沿って、 力を加えなかった場合のエネルギーの変化をみると、 エネルギーの極大点がTSの候補となりますし、エネルギーの極小点がEQの候補となります。精密なTSやEQは、LUP法を用いて 経路全体の精度を改善してから、それぞれ最適化します。
 SC-AFIRでもADDFで使われるFirstOnlyやNoBondRearrangeなどのoptionが使えるので、必要に応じ、探索範囲を限定して、 目的とする情報を効率的に得ることができます。たとえば、SC-AFIRにNoBondRearrangeを適用し、KHPという化合物 (H6C3O3)の異性化と分解過程が効率的に調べられており、他の方法(FSM, GSM, SSM, KinBot)よりも、 SC-AFIRの方が優れていることが示されています(J. Chem. Theory Comput. 15, 2111 (2019))。

Double-Sphere(DS)-AFIR: 2点間のAFIR探索

 AFIR法を応用して、2点間の反応経路を効率的に求める手法として、DS-AFIR法が開発されました。これを用いると、 多段階反応で結ばれた2点の間の中間体と各素過程のTSを調べることができます。たとえば、5角柱型のペンタプリズマン (C5H5)2と単一環状の[10]アヌレンの間の多段階反応経路が求められています (J. Comput. Chem. 39, 233 (2018))。