逆合成解析 目的物を断片synthonに分ける過程を見つけ出すことで、その逆の合成経路の設計が可能に
分解経路からその逆の合成経路がわかる 副産物を生じない理想的反応経路の探索が実現!
反応過程として A→B+C が見つかれば、その逆の B+C→A という反応経路の存在が明らか になります。つまり分解(解離)経路がわかれば、その逆の合成経路がわかります。GRRMプログラム に搭載されたADDfアルゴリズムを用いると、解離のチャンネルが自動的に探索されるので、その逆の合 成経路を見つけ出すことができます。このようにして見つかる合成経路では、副産物がまったく生じません。これは、原料を無駄にしない 省資源を実現するとともに、不要な廃棄物を生じませんので環境問題の改善にも役立ちます。GRRMプロ グラムを用いると、こうした有用な反応経路を、知識や経験や優れた予知能力がなくても、自動的に探 索することができます。
逆合成解析の例: アミノ酸分子グリシンの逆合成解析
逆合成の目的物質としてグリシンH2NCH2COOHをとりあげてみましょう。まず、上の図に示したように、 目的物質のグリシンを出発点にして、その分解(解離)経路を調べます。すると、上の図に示したように、 アンモニアNH3が生じる経路、二酸化炭素CO2が生じる経路、水素H2が生じる経路、一酸化炭素COが生じ る経路などが得られます。これらの分解経路を逆にたどれば、グリシンが過不足なく合成される経路が わかります。こうした解析によって、合成反応経路を探索することができます。このような逆合成解析を、NH3と一緒に生成するアセトラクトンH2C(O)C=Oにも適用すると、さらに、 CO2とメチレンCH2に分かれたり、COとホルムアルデヒドHCHOに分かれたりする分解過程が得られます。 その結果、CO2とCH2、もしくは、COとHCHOからアセトラクトンを合成し、さらにそれにアンモニアNH3 を加えることで、グリシンが合成される反応経路(下の図のSetp 1aまたはStep 1bに続き、Step 2を経 る過程)を設計することができます。