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超並列化したNeoGRRMで、BCNOSの新しい探索結果が得られました。↓
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光化学解析          光エネルギーの有効利用を目指す、量子化学探索の新手法:励起状態解析の応用

H2COの光反応機構解析             光化学過程の謎解きが一挙に進みます!

 GRRMプログラム並列版(GRRM11以降)では、励起状態のポテンシャル表面を扱う新アルゴ リズムが多数導入され、光化学解析を系統的・自動的に行えるようになりました。このため、 Gaussianプログラムに加えて、励起状態の計算に優れたMolproを直接利用できるようにして あります。
 上の図は、ホルムアルデヒドHCHOにGRRMの励起状態解析法を適用して、光化学解析を行っ た結果を、エネルギーダイヤグラムの形式で示したものです。HCHOのようなわずか4原子の 分子でも、励起状態には、一重項(S)に加え三重項(T)の励起状態もあり、それらがポテンシ ャル表面上で複雑に入り組んでいるため、基底状態から1重項励起状態に励起されてから、 どのような励起状態ダイナミクスが展開されるのか、いろいろなメカニズムが提案されてい ましたが、決着がつけられず、学術的に混沌とした状態が続いておりました。
 GRRM11プログラムを用いた結果、最低一重項励起状態(S1)および最低三重項励起状態(T1) の近くに、2つのMSX(ポテンシャル交差極小点)があることが見つかりました。これらの MSXは、既に提案されていたMSXよりもはるかに重要性が高く、これらのMSXがホルムアルデ ヒドの光化学反応のメカニズムを決めていることが発見されました。このほか、異性体であ るcis-およびtrans-ヒロドキシメチレンH-C-O-Hが関係する2つの新しいCI(円錐交差点)が みつかりました。
 GRRMプログラムに搭載された励起状態解析法(多状態ポテンシャル表面解析法)によって、 これまで曖昧模糊としていた励起状態のダイナミクスの解明が、飛躍的に進められるように なりました。

NO3ラジカルの光解離機構解析           励起状態ローミング機構の新発見!

 GRRMプログラムによる光化学解析によって、これまで知られていなかった反応機構がいろ いろ明らかにされています。
 下の図は、NO3の光解離解析に応用した結果です。解離して生じるO2の振動励起が 活発に起きるhot過程に加え、振動励起があまり激しくないcold過程も付随することがわかり ました。このcold過程は、励起状態D1での光化学直接解離過程で、O原子の1つか他の部分から遠 く離れてroamingした後再びO-N-Oの1つのOと結びついて解離すroaming過程であることがわ かりました。これは励起状態でroaming過程が起こることを示す最初の実例となりました。