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超並列化したNeoGRRMで、BCNOSの新しい探索結果が得られました。↓
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励起状態解析    多数のポテンシャル表面が複雑に絡み合う 励起状態 を攻略する、非常に強力なアルゴリズムの誕生!

ポテンシャル交差極小点MSXの自動解析      謎に包まれた世界の自動探索が可能に!

 並列版のGRRMプログラムGRRM11では、励起状態の解析ができるようになりました。
励起状態では、いろいろな状態のポテンシャル表面が互いに接近し交差することが頻繁に起 こります。励起状態での化学反応は、このようなポテンシャル交差(Seam of Crossing:上 図左)を通じる状態変化を経て進むことが多いので、ポテンシャル交差を調べることが非常に 重要です。光化学過程を量子化学に基づいて解析するには、ポテンシャル交差を高い精度で 求める必要があるのですが、これは非常に手ごわい問題です。というのは、計算精度が少し 変わると、ポテンシャル交差の位置が大きくずれたり、あるいは交差しなくなってしまった りするため、計算精度の影響をシビアに受けるからです。このような交差の有無や位置を経 験や直観に基づいて推定することは、ほとんど不可能なほど難しく、従来の計算法では、ま ったく太刀打ちできないといっても過言ではないほどの難問でした。
 GRRMプログラム並列版では、これまで系統的な自動探索が不可能であった、励起状態のポ テンシャル交差を自動探索できるアルゴリズムが搭載され、しかも、励起状態で起きるダイ ナミクスを決定的に支配する、ポテンシャル交差の極小点(Minimum on Seam of Crossing, MAX, 上図左)を自動的に決定することができるようになりました。


ポテンシャルの円錐交差自動解析

 励起状態の対称性がスピン・空間ともに同じなら、2つのポテンシャルは、上図右(a)のよ うに1点で交差し、円錐交差(Conical Intersection, CI)とよばれるものになります。CIは 2つの円錐の頂点を突合せて逆向きに重ねたような形をしているので、このような名でよば れます。励起状態の対称性が異なるときは、上図左のように線状の交差曲線(Seam)を与え ます。
 CIの探索はSeamの場合とは違って難しい問題があります。交差点が尖っていて数学的には 特異点になるため、その点を自動探索するには、特別な工夫が必要になります。GRRMプログ ラムでは、尖った部分が丸くなるようにAvoiding Model Function法というものを導入し、 微分(勾配)がスムーズになるようにして通常の探索法をそのまま使えるようにしています。
 GRRMプログラムでは、円錐交差をこのように丸めて処理することで、励起状態のポテンシ ャル表面上に存在する極小点や遷移構造(TS)を、基底状態の場合と同じアルゴリズムで効率 的に自動探索することができます。これは、他の計算プログラムにまったくない、非常に優 れた機能で、この機能のおかげで、光化学解析に重要な励起状態のポテンシャル表面を、系 統的かつ自動的に探索できるようになりました。
 少し専門的になりますが、GRRMプログラムでは、Branching-Plane-Updateアルゴリズムを 導入することによって、非断熱結合ベクトルを計算せずに効率的に円錐交差を決定すること ができますので、励起状態の電子状態計算に、CASPT2やTDDFTなどの高レベルの計算法を用い て円錐交差解析を広範に進めることができるようになりました。