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超並列化したNeoGRRMで、BCNOSの新しい探索結果が得られました。↓
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GRRM-Strategy
ADDF-AFIR  K. Ohno, K. Morokuma, Y. Osada, & S. Maeda

GRRM Strategy

化学反応を大まかに分類すると、つぎの4種類になります。
 (1) A→X   (異性化)
 (2) A→X+Y  (分解・解離)
 (3) A+B→X  (合併型合成)
 (4) A+B→X+Y (組換型合成)
GRRMプログラムに搭載されているADDF(非調和下方歪を追跡する)アルゴリズムによって、(1)と(2)のタイプ
の反応が、直接探索されます。(2)が探索されると、その逆の、X+Y→Aも探索されたことになるので、いろい
ろなAについて調べて行けば、(2)から(3)の情報も得られるため、結局、ADDFによって(1)-(3)のタイプの反応
に関する情報が得られます。
AFIR(人工力誘起反応)アルゴリズムを用いると、AとBからXが生じる(3)のタイプの反応や、AとBからXとYが
生じる(4)のタイプの反応を非常に効率的にみつけることができるようになりました。
そこで、ADDFとAFIRを組み合わせて化学反応一般の探索を行う方法をGRRM戦略と呼ぶことにいたしました。
詳しくは下記の総説をご参照ください。

なお、当初は、ADDFに基づく探索では、(4)のタイプの反応はまったく探索できないと思われましたが、実際
にADDFによる探索を行ってみると、(4)のタイプの反応もいろいろみつかります。
そのよい例としては、水性ガスシフト反応とよばれる反応(H2O+CO→H2+CO2)が一段階で進行する直接過程
が、最近、ADDFによる自動探索で発見されました。ただし、ADDFでは(4)のタイプの反応がすべて必ずみつかる
というわけではないので過大な期待は禁物です。

ADDFによる探索で、(3)に加えて(4)のタイプの反応もある程度みつかってきますが、膨大な探索を行った結果
として出てくるので、探索が終了するまでにかなりの時間がかかります。
これに対して、反応物の組み合わせ(A+B)があらかじめ決まっているときは、AFIRを使うと効率的に短時間で
(3)や(4)のタイプの反応が調べられます。最近、このAFIRを用いることによって、ヒドロホルミル化反応とし
て著名なコバルトカルボニル錯体を触媒とする多段階の触媒サイクルについて、そのエネルギープロファイル
が世界ではじめて自動的に決定されました。

(1)~(4)のタイプの化学反応を量子化学に基づいて系統的に自動探索できる方法は、今のところGRRM戦略しか
ありません。GRRM戦略は、未知の化学を切り拓き、豊かで安全・安心な人類の未来に向かって貢献いたします。


GRRM戦略の参考文献

<GRRM戦略の総説>
  Systematic Exploration of the Mechanism of Chemical Reactions: Global Reaction
  Route Mapping (GRRM) Strategy by the ADDF and AFIR Methods
  Phys. Chem. Chem. Phys., 15, 3683-3701 (2013).
  Satoshi Maeda, Koichi Ohno, and Keiji Morokuma