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Koichi OHNO の
 究 極 の 元 素 戦 略 

 

 

 



グリーン・サステイナブル・ケミストリーへのチ ャ レ ン ジ


                               大野 公一    

 < アトムエコノミー・元素戦略・グリーン・サステイナブル・ケミストリー >

 私たちが棲む地球には有用な資源がたくさんありますが、それを大量に使い始めたのは、
 長い人類の歴史の中でも、わずか200年前からのことであり、希少な貴金属などを使っ
 ていろいろな機能をもつものを作り出すようになったのも、ごく最近のことです。このま
 ま使い続けていくと、資源が枯渇することは目に見えています。したがって、私たちが物
 質を利用する際には、原子(アトム)を1個たりとも無駄にしない使い方が望まれます。
 原子を最大限の効率で利用することをアトムエコノミーといいますが、それは、最近盛ん
 になってきた元素戦略、いかに元素をうまく使いこなすかという戦略にも、応用すること
 ができます。また、特定の元素の代わりに、別な元素で代替することも、元素戦略上きわ
 めて重要な課題です。                              

 私たちがいろいろな物質を利用することにともなって、もう一つ問題になっているのは、
 地球温暖化や公害などの環境問題です。このためにも、望ましくない物質は、ひとつも作
 り出さないようにしなくてはなりません。また、すでに存在しているならば、それを無害
 なものに変えてしまわなければなりません。そのための化学は、グリーンケミストリー・
 サイステイナブルケミストリーという、いま人類にとって一番大事な科学技術なのです。

 
 < コンピュータによる化学の世界(高度な超空間)の探索 >
 
 いまや世界最高水準のコンピュータで地球表面の気象をシミュレーションして、天候や気
  候の変動を予測する時代が到来しつつあります。そうした、理論的予測が、化学の世界で
 もできないものでしょうか。半世紀ほど前には、二等辺三角形の形をした水の分子構造を
 理論計算で出そうとすると、当時の世界最高のコンピュータをもってしても至難のことで
 した。しかし今では、それはパソコンでも専門の計算ソフトを入れれば簡単にできます。
 そして、いろいろな組成の分子の形や結合の組み換えがどのように起こるかも、計算化学
 を用いて調べていくことが、原理的には十分可能になってきました。ところが、化学の世
 界は、わずか10個程度の原子の集団の化学でも、24次元もの超空間をコンピュータで
 調べる問題になるため、現在世界最高速のコンピュータを使って計算しても、宇宙の年齢
 の何億倍もの計算時間をかけないと、10個の原子にどのような化学があるかを調べつく
 すことはできないのです。ただこれは、学校の校庭に落としてしまったダイヤモンドの粒
 を校庭の端から端まで、つぶさに調べるやり方で探索した場合の話で、もっとうまい探索
 方法(探索アルゴリズム)をみつけることが世界中の課題となっていました。     


  < 化学反応の量子原理の発見:化学反応経路の自動探索 >

 一定の組成の原子の集まりから、どのような化合物ができ、それらがどのように反応する
 かを、コンピュータで自動探索する新しいアルゴリズムが、私たちの研究室で誕生しまし
 た。これは、化学の世界のどこにどのような化合物があるか、そして、それが反応して別
 の物に変わるには、どの方向に進めばよいか、つまり、新しい「化学」を発見するための
 「羅針盤」に相当するものが見つかったのです。これは「化学反応の量子原理」とよぶこ
 とのできるもので、その詳細は他のページに譲りますが、これまで、試行錯誤や直感に頼
 るしかなかったのが、量子化学計算という計算化学の最先端の手法を用いて自動的に化学
 反応の経路を次々とただって未知の化学をことごとく暴き出すことが可能になりました。
 そのアルゴリズムは、化学反応の経路を次々とたどる方法なので、反応に関係しないとこ
 ろを無駄にさ迷うわずに済むため、きわめて高次元の超空間でも、有限なプロセスで、未
 知の化学をすべて自動的に探索することができるのです。              

  →「化学反応の量子原理:化学の世界の羅針盤」


  < 超球面探索法による究極の元素戦略 >
 
 私たちが見つけた新アルゴリズム「超球面探索法」を応用すると、一定組成の原子の集団
 でできている化合物が、それより少数の原子からなる化合物に分解する反応も自動的にみ
 つけ出すことができます。この分解反応経路がわかれば、それを逆にたどると、複数の化
 合物から、分解前の化合物を過不足なく(原料をまったく無駄にせず、余分な副産物をま
 ったく排出せずに)合成することができます。これはつまり、究極のアトムエコノミー・
 最高の元素戦略に適った合成法です。すなわち、目的物質だけを生じる無駄のない合成反
 応経路は、その目的物質の分解反応を探索すれば、簡単に見つけ出すことができます。私
 たちの「超球面探索法」はまさに究極の元素戦略・アトムエコノミーにうってつけの方法
 なのです。                                   


  < 物質変換のための反応経路の自動探索 >

 私たちの超球面探索法は、ある物質を別の物質に変換する反応経路を見つけ出すのにも、
 大いに役立ちます。これまでの方法では、反応の途中にある遷移状態を自動的にみつけだ
 すことが困難でしたが、超球面探索法では、出発物質または目的物質から、反応経路をた
 どって簡単に反応の遷移状態を探索することができます。しかも、従来の方法では、出発
 物質と目的の物質とが一段の反応では届かず、何段も中間体を経る場合には、ほとんどそ
 れらを結ぶ反応経路の探索は不可能でしたが、超球面探索法では、たとえ数十段もの反応
 ステップで結ばれている場合でも、多数の中間体を経る反応経路を難なく見つけ出してく
 れます。これは、無益なものを有益なものに変換し、有害なものを無害なものに変換する
 ことに大いに役立ち、地球環境の保全に貢献します。すなわち、グリーンケミストリーや
 サステイナブルケミストリーを推し進めるための強力なツールとなります。      

 
 こうして、究極の元素戦略やグリーン・サステイナブル・ケミストリーを強力に支援する
 計算化学のコンピュータアルゴリズムが、私たちの研究室で誕生しました。いかがでしょ
 うか、みなさんも、私たちの「超球面探索法」:それを搭載した「GRRMプログラム」:
 を使って、未来の化学を切り開いてみませんか。プログラムの概要と申し込みには、下記
 のリンクをご利用ください。                           

 
  →「超球面探索法搭載GRRMプログラムの概要と利用申込方法
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